淡色 野菜
果長10cm 前後で3cm ほどの太さになり、 生食用としての収穫適期を迎える
昔きゅうり
主な産地
●三和町上三坂地区
生産の歴史的由来
キュウリの原産地は北部インド、ネパールにかけてといわれており、日本 には6世紀後半に中国から伝えられたとされています。全国各地で本格的 に栽培されるようになったのは江戸時代からで、果実の形、色、肉質、風味、栽 培特性などが異なる多くの在来品種がありました。
いわき地区でも、明治時代にはキュウリ栽培が盛んに行われており、平近 郊では、昭和20年代後半に「石城節成」品種のキュウリが栽培されていた といわれています。この品種は、草姿、草勢から落合節成(おちあいふしなり) に属するといわれ、節成性も高い石城地方の順化種として優良なものです。 6
特 徴
昔きゅうりは露地栽培ですが、トンネル型支柱を採用した「立ちづくり」 をして丁寧に育てています。最大の特徴は、接ぎ木をしないことです。 一般のキュウリのほとんどがブルームレス(白い粉が付きにくい)であり、 いずれも土壌病害を回避するため、かぼちゃに接ぎ木がされています。 昔きゅうりは5月中旬に種蒔きし、本葉(ほんよう)が2~3枚展葉(て んよう)した苗を6月上旬に定植します。一般のキュウリより葉が大きめ なので、株間を広く取り風通しを良くすると、病気の蔓延予防になるよう です。7月中旬から8月下旬にかけて、生食用として収穫適期(約13cm) を迎えた、開花から2週間ほどの果実から収穫し、以降、好みの太さで収 穫していきます。
昔きゅうりは自分で種を採ることができます。採種用の実は熟すまで畑 に残しておきます。黄色く熟したキュウリを縦に二つに割り、中の種子をザ ルに掻き出した後、水洗いします。水に浸したとき浮いた種子を除き、沈 んだ種子だけをネット袋に入れ、揉むようにゼリー状のものを洗い流します。 ネット袋を風通しの良い場所で風乾(ふうかん)します。
果形は短くて太く、長さが12cm ほどになると、一般のキュウリと同じ 太さになり、さらに、20cm ほどに成長すると、太さは7cm ほどになりま す。果皮(かひ)は軟らかく、色は上部は濃緑色で下半部は淡緑色。※ブルー ムという白い粉が果実を覆い、高く鋭いとげがあります。熟すと、実の皮 は黄色に変化します。どの時期でも美味しく食べられ、若い果実はシャキ シャキとして歯切れも良く、酢の物や漬物などの生食として好まれますが、 成熟した太い果実は肉厚で肉質もしっかりしているため、炒め物や味噌汁 の具などに加熱して食します。
地域の伝統食として受け継がれている「どぶ漬け」は、若い果実の昔きゅ うりを、「浅漬け」より一手間かけて、塩水で漬け込む漬物です。収穫し た昔きゅうりを足しながら塩加減を調節すると、長期保存食にもなり、地 域の食卓には欠かせない存在のようです。
(※)ブルームとは、ブドウ、ブルーベリーやキュウリなどの表面がうっすらと白い粉を吹いた状態になることで、根の吸肥力が強く、果実の肥大 が良好な場合ほど発生が多いといわれ、昔の人はこのブルームの度合いを鮮度の目安にしていました。しかし、農薬がついている、汚い などと言われるようになり、現在ではブルームレスが全盛となったようです。
代表的な栽培方法
三和町上三坂で栽培されている「昔きゅうり(現在の地方での通称)」は、 明治時代から代々自家採種により栽培してきたもので、来歴や品種は明ら かではありませんが、果形(かけい)は華南型に属する品種に似ています。 かつては小野、田村、三和で昔きゅうりを主流として栽培してきたようで すが、現在では三和でも上三坂のごく一部のみで栽培されており、7月中 旬から8月中旬の収穫期には三和町の直売所や農家レストランに並びます。
(上)草勢の強いキュウリは、 縦溝がしっかりしていて、い ぼが高く、とげが鋭い
20cmほどの長さで太くなり、黄色に熟していく
(上)横断面。日本でキュ ウリ栽培が広がらなかった のは、その時代にあった祇 園信仰【神仏習合(しんぶつ しゅうごう)信仰】が背景に あり、京都八坂神社の紋や 徳川の葵の御紋に、キュウ リの切り口が似ているた め、禁忌作物にされていた ともいわれている
(左)縦断面。少し太尻果ぎ みのものは、そこによい種 子がたくさん入っているこ とを示す
とげ
縦溝
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